2010年 05月 23日

影の反オペラ1

“語り”と“歌”を行ったり来たりするようなモノオペラを
と高橋悠治さんに依頼したことから「影の反オペラ」は始まった。
去年の夏のことだ。
作曲を委嘱するなど初めての経験。
オペラのための詞が出来上がってきてから数ヶ月、約束どおりの4月末に
とうとう楽譜がきた。

それからというもの、暇さえあれば「譜読み」です。
早くやり終えなければと思いつつ、なんだか勿体ないような気もして、すすめない。
そもそも私の譜読み能力は「牛車」の速度である。
音を体に入れる作業には、とてつもなく時間がかかってしまう。
「365歩のマーチ」ともいえます。
3歩進んで、2歩下がる。

譜読みしていて、特に今回思うこと。
高橋悠治さんの音は「しずく」か「珠」のようだ。
現在の譜読み作業はそれらを
一粒づつ追うような、手に受けるような感覚だ。

その珠はどんな連なりになっていくのだろう。
しずくは溶け合って川になるのか 弾けて飛沫になるのか
どんな運動が起こっていくのか。
なにか知らない生物の静かな細胞分裂を見つめているような毎日。

公演情報 http://www.suigyu.com/monoopera.html

by hatano-mutsumi | 2010-05-23 01:00 | コンサート


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