2010年 12月 03日

師走の週末

断捨離の精神にのっとり、持ち物を5分の3に減らすことに成功。
この状態をキープしたいものでございます。

12月は毎週末、違うタイプのコンサートに出演しています。
明後日は「吉田隆子生誕100年記念コンサート」という会で
非常に珍しい歌曲を歌います。
今年は、柴田南雄、高橋悠治、小倉朗と
日本の作曲家の歌曲を演奏する機会に恵まれましたが、
その〆のコンサート。

12日は国際基督教大学のチャペルでバッハ、ヘンデル、パーセルなど。
19日は宮崎で古楽器のアンサンブルとイタリアのバロック。
23日は軽井沢にてパイプオルガンとキャロルを。
そしてクリスマスには静岡でミュージカルナンバーを歌って終了!
各コンサートのご案内はダウランドアンドカンパニーのHPでどうぞ。

各地の会場でみなさまにお会いできるのを楽しみにしています。
インフルエンザ、ノロウィルス etc 
どうぞお気をつけておすごし下さい!

# by hatano-mutsumi | 2010-12-03 22:12 | コンサート
2010年 11月 01日

ダンシャリdays

急に引っ越すことになり、荷物の整理に追われる「断捨離」の日々です。
「だんしゃりしてます」と人に言うと
「断シャリ?ご飯絶ちダイエットですか?」と、50%の確率でこの返し。

いえいえ、使わないのに持っている物をばんばん譲ったり捨てたりしてるんです
と答えつつ、
相当の覚悟で取り組んでも手放せない物の多さを思って、ため息が出る。
18年前に九州から出て来た時には、段ボール数個の引っ越しだったのに。
いつのまに?

物には色んな場面での記憶があるから? 
それで捨てられないのだろうか?
だが人を思い出す時に深く結びついているのはむしろ、香りと声の記憶だ。
今は珍しくなった「仁丹」の匂いがすると、必ず思い出される人がいる。
私の周囲で仁丹を愛用していたのはその方だけだったから。
匂いと一緒に笑い声、怒った声など一斉に響いてくる。
耳からでなく自分の身体の中から聞こえる声だ。

でも物からも声が聞こえてくる場合が多々あり。
整理の途中、ふと手にとってしまい作業中断。断整理じゃ。

# by hatano-mutsumi | 2010-11-01 08:39 | エッセイ
2010年 10月 16日

詩人が読むと

詩人が自作を朗読する
よく行われていることだが、昨日発見したyoutubeでは
ボードレールが朗読していた。
写真を加工し、口や眉など顔の表情が動いて見えるように作成された
アニメーションで
シェイクスピア、ダン、ワイルドなどかなりの種類を見ることができる。
よく出来たものだと写真ではなく、ほとんど映像に見えるので
「この詩人のこんな映像があったとは知りませんでした!」
など勘違いするコメントもあったりして。

朗読の声は、名優たちの既録音だと思われるが、そうなると気になるのは
詩人の顔の骨格と声がマッチして感じられるかどうかだ。

日頃から カフェや電車で近くに座った人たちの「音声」をウオッチングしている。
骨格と(肉付きではないんです)声の響き、出し方、しゃべりのスピードなど
見た目との相関関係を観察するのだ。
人を見たとたんに自動的にやってしまうのだから、もはや趣味ではなく性癖だ。

このpoem animationという動画の中で「むむ!」とうなったのは
ウィリアム・ブレイクの肖像画の朗読だった。
肖像画は顔のアップではなく、上半身全体も描かれていて
カップリングされた声の軽さ、高さ、詩を読む速さなど、画面との相性がよく
詩人が読んでいるように自然に感じられる。
同じ詩人の肖像画でも作品によって違う声が使われているので
「これはぴったり」とか「ありえん!」など判定することになる。
延々とクリックしてしまう。

来週は王子ホールの「歌曲の変容vol.6」です。
プログラムで歌う詩の朗読をさがしていたら
当初の目的とは違うはまり方をしてしまいました・・・。

# by hatano-mutsumi | 2010-10-16 10:06 | エッセイ
2010年 10月 05日

昭和の田舎

作曲家・小倉朗没後20年記念コンサートにて
「木下夕爾の詩による八つの歌」を歌います。
   
   ひばりのす
    ふろたき
     山家のひる
      汽車のけむり
       すいっちょ 

などなど タイトルを並べるだけで情景が浮かぶ。

詩人は作曲家(1916年生)と早稲田大学仏文時代の同級生だそうだ。
私は1964年生まれなので約50年ほど年代が違うけれど、
九州育ちで、加えて休みになると父方の田舎に遊びにいった記憶から
この詩の中の空気はひどく懐かしい。

嗅覚と記憶の結びつきは深いそうだ。
五右衛門風呂を焚く匂い 庭のつつじや水仙の匂い 畑の匂い
楽譜から色々と漂ってくる。
そういえば昔「こすると香る」グッズが昭和の女子小学生の間で流行りました。

この歌曲集、情景はのどかで音楽はクール。かっこいい。
名著「日本の耳」の著者でもある作曲家が「めずらしくすらすら書けた」と。
すらすらと歌えたら、いいなぁ。

お問い合わせはこちらです。
  没後20年 小倉朗室内楽作品展 実行委員会 042−421−1809
           日時:10月18日19時開演 銀座王子ホール

# by hatano-mutsumi | 2010-10-05 22:03 | コンサート
2010年 09月 15日

二重唱

デュエットの機会に恵まれることが多い。
先月は都留古楽祭での Dame.エマ・カークビーのリサイタルの最後に、
イタリア初期バロックを3曲、重唱させていただいた。

留学中のロンドンの図書館で初めて彼女の歌うパーセルを聴いた衝撃は忘れない。
あれほどクリアで軽やかな歌に触れたことはなかった。
自分の歌の「重さ」を考える時まるで、地球に帰ってきた宇宙飛行士の気分が
理解できるようだった。
  あんな風に軽く歌うには、二三度生まれ変わらなければ!
その絶望感も、「この歌をコピーしたら私の声は自滅する」という危機感もはっきり記憶している。

そして都留でのデュエット。
隣から響いてくる声はなんと弾力に満ちていたことか。
決して切れない美しい蜘蛛の糸のようでした。

# by hatano-mutsumi | 2010-09-15 23:34 | エッセイ