2014年 02月 04日

はまりもん

好きなことが仕事になってしまったこともあり、
この歳までいわゆる趣味というものがなかった。
ところが、1年ほど前からある方に「句会にこない?」と誘われて、
創作なんて絶対無理です!と答え続けていたが、
昨年の9月につい出かけてしまった。句会に。
秋のコンサートシーズン用の譜読み、そのあまりのヘビーな量と内容に
現実逃避を起こしたのである。
とにかく音楽以外のことを考えたかった。

あれは、9月とはいえ日差しの強い晴れた日だった。
10人ほどの人が集合するなり、宗匠は
「では今日は吟行にしましょうか。1時間半後に3句作って再集合ね」
と言い放たれ、それから皆さん近隣の広い公園に散っていったのである。

私は俳句に関しては宗匠の御本を2、3冊読んだだけ、という
蚤のような知識量で参加し、パニックを起こした。
“ギンコー”ってなんだっけ?!
というくらいのもんである。

あまりの緊張に、吐きそうになった半日。
しかし、
そぞろ歩いて五感に受けたものを詠むという時間、
その後の「選評」の時間に、
普段とは全く違う身体の感覚、言葉への感覚を呼び起こされ、
緊張からの強烈な疲労を凌駕して、結果「楽しさ」だけが心身に残ったのでした。
疲労は激しかったですね。
翌日は「知恵熱」ならぬ「俳句頭痛」を起こしたくらい。

先日は俳人の堀本裕樹さんのラジオ番組にも出てしまい、
俳句やってます、とカミングアウトしてしもた。
この冬も何日も寝込んだが、その間もベッドで俳句、作ってたな。
今日のお気に入り。

 いま一つ椿落ちなば立ち去らん___松本たかし

# by hatano-mutsumi | 2014-02-04 20:04 | エッセイ
2014年 01月 23日

朝のコンサート

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2011年にシリーズを始めて、はやいものでもう5回目だ。
自分が30代の頃は、妊婦さんや小さい子供をもった人のための
マタニティ・コンサートを考えていたなと思い出す。
結局、そのアイディアは行動には移せないまま、時間がどんどん過ぎた。

40代になる頃には、周りに体調をくずす友人が増えてきた。
検査ではまだひっかからない、つまり病名がつくわけではないけれど
日常生活や仕事の上で自分の身体が思うようにならない。
そんな不定愁訴を、複数の友人からくり返し聞くようになった。

彼女たちがよく言っていたのが
「夜にホールまで出かけて、2時間のコンサートを座って聴く、
 それにはかなりの気力と体力が要る」
ということ。
その一方で「生の音楽を聴きたい!」と言う。
気力体力が落ちているからこそ、生の音を浴びた時の
心身への影響が以前よりはっきりとわかる、と。

複数の意見や要望をききながら、試行錯誤のなかで始めたのが「朝のコンサート」。
昼間の開演、短めの演奏時間。
できればホールやロビーは外光が感じられるところ。
もちろんそれでも、支度して家を出て、ホールにたどり着き、
1時間の演奏を聞いてまた家に帰る、これには相応のエネルギーが必要だ。

「朝のコンサート」のコンセプトに色んな意見をくれた友人は一年前に逝った。
共におばあさんになってよろよろしながら一緒に演奏していたかったと今も悔しい。
私自身もこの2年半ほどしょっちゅう不調に見舞われ、寝込むことが頻発した。
いくつもの幸福な偶然が重なって演奏者と観客はその日会うのだ、と思う。

チラシにあるキャッチのフレーズは、今回のコンサートのために
第3者が考えてくれたものです。
当たり前ですが、自分で「あたたかい声」などとは言えん。書けん。
確かに、若い時に比べて声の温度は上がったかもしれません。
身体は冷えやすくなってますが。

早春の朝、どうぞおでかけください!

# by hatano-mutsumi | 2014-01-23 18:30 | コンサート
2014年 01月 06日

お節の慶び

新年あけましておめでとうございます。
2014年がみなさまにとって健やかな良い年となりますように。

今年は大分に帰省せず、2年ぶりに東京での年越しでした。
元旦にご挨拶にうかがったお宅のお節料理で、
あらためて「だしの力」というものに感嘆・・・。
それはもちろん、料理をなさった方の素晴らしい腕と
「おせち料理」に対する思いの深さがあっての味でした。

旨味が素材を一色に染めてしまうのではなく、
野菜ひとつひとつの味が浮き上がってくる「だし」。
そのお宅ではお煮染めは、野菜を一種類ごとにたくそうです。
色んな旨味が渾然一体となるお煮染めも好きですが、
私は日頃から素材1種類の料理が好きなようで、
それはその料理を作った方も同じだとおっしゃってました。

もうとにかく、うまかった〜。しみました。滋養。ほとんど慈養。

実家のだしは、椎茸・昆布・いりこが主。
やはりこの3種に身体がなじんでいるのを年とともに感じます。
母のお節は素朴で、まろい味。
今年は、これまでなんとなく「敷居が高い」と感じていた「だし」世界に
入ってみようかな。

# by hatano-mutsumi | 2014-01-06 12:07 | エッセイ
2013年 12月 27日

新春コンサート「ちんろろきしし」

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2014年のはじまりは「ちんろろきしし」
どういう意味?と聞かれます。
もちろん、わかりません!

「ころころころ」など数々の名作絵本で知られる画家、元永定正さんの絵本です。
絵とともに不思議なひらがなの連なりが見開きでかかれていて、
ページをめくるたび違う世界が待っている、大人の絵本。

高橋悠治さんと元永定正さんは1970年代のニューヨークで出会ったそうです。
元永さん亡き後「ちんろろきしし」に音楽を、と請われて
悠治さんが書き下ろし、新年4日、神戸で初演されます。

本から選ばれた絵が大きなパネルに仕立てられ、ステージに現れては消える「紙芝居」。
私は絵に対応するひらがなを声にします。

この悠治さんのコンサートのテーマは「子供」。

ピアノ曲はモンポウ作「子供の情景」
サティの「コ・クオの子供の頃」と「子供のあらたな3曲」。

そしてもうひとつ、声の作品は、高橋悠治作曲「寝物語」。
寝ているのは、野球とまゆみちゃんが好きな男の子です。
悠治さんの作品を演奏する場合、いつものことですが、
今回もこれまでやったことのないスタイルをトライさせていただきます。。。

さて、2014年、どんなことが待っているのでしょうか?
良いお年をお迎えください!
___________________________________
1月4日(土)14時開演 兵庫県立文化センター/神戸女学院小ホール
       声:波多野睦美 ピアノ:高橋悠治
<チケット>
   神戸芝居カーニバル実行委員会 090−1914−4907
   mail: jun-ksc@fine.ocn.ne.jp
   芸術文化センターチケットオフィス 0798−68−0255
   前売り2800円 当日3000円 全席自由

# by hatano-mutsumi | 2013-12-27 21:04 | コンサート
2013年 12月 12日

奇妙なマザーグースの話

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わらべうたは怖いものが多い。
日本のもので怖くて有名なのは「花いちもんめ」人買いの話だ。
「かごめかごめ」もなんだか意味不明で戦慄がはしる。
マザーグースも、もちろん怖い。

この企画が打診された際、いわゆる子供向けの毒抜きされたものには興味がありません、
と申し上げたところ「怖い話、ゴロゴロありますー!」とのことで、
歌うことになった。

今回のステージの主役は、大きなスクリーンに照射される木版画だ。
すべて、山福朱実さんによるコンサートのための新作。
1曲につき何点も作られているものもあり、カラフルで美しいもの、
モノクロームの味わい深いものと色々。
ハープの他に「ヴァージナル」とう撥弦楽器も登場する。
フェルメールの絵によく描かれている長方形の楽器だ。
私はこの楽器の、ちょっと鼻のつまったような音が大好きなのだ。

歌は原語で、長い物語は日本語で朗読する。
コンサート案内の動画はこちら。
http://www.youtube.com/watch?v=8nTMvNNu4o0

# by hatano-mutsumi | 2013-12-12 08:31 | コンサート