カテゴリ:コンサート( 70 )


2011年 02月 13日

時代の音

仙台・東北学院大学でのレクチャー・コンサートシリーズ「時代の音」が
昨日無事に終了。
さわやかな緑の中の1回目、
残暑(36度以上!)の2回目、
雪景色の最終回。
杜の都の自然をしっかり味わえたシリーズだった。
スタッフの皆さん、本当にお疲れ様でした。

普段、曲の解説以外の声や身体のことを
コンサートにいらしたお客様の前で話すことはない。
このシリーズが始まる前は一体何をどう話そうかと色々考えていたが、結局は
いつも頭をめぐってることを、めぐってるようにしか話せなかった。
つまりこのブログで書いているようなことだ。
と言うほど更新してませんが。

準備してもやはり、お客様の反応によってその時々に話す方向は変わっていった。
そこが一方通行のブログとは違う。
自分にとってはごく普通の当然のことを話しているつもりの箇所で
「!!!」「???」
という空気が会場に満ちると、自然そちらを詳しく話すことになったから。

いわば“メイキング”を話す時間をともなった、珍しい演奏の場だった。

by hatano-mutsumi | 2011-02-13 23:55 | コンサート
2011年 01月 24日

マッド・ソング

狂気の女性といえば、現代では
オペラは「ルチア」芝居は「オフィーリア」
バロック時代のイギリスでは「ベス」がその代表の名前だった。
男の場合は「トム」。

パーセルの時代「マッド・ソングー狂気の歌」というジャンルの歌が人気を博した。
その原因は色々あげることができるようだが、
現在もパーセル作品を演奏する歌手に「マッド・ソング」は人気だ。
舞台にのせたがる人が多い。
自分もです。罠の多い曲と知りつつ。

「ベドラムのベス」はパーセルのマッド・ソングの中でもっとも頻繁に演奏される。
ベドラムとは当時ロンドン郊外にあった精神病院の名前だが、
病院とは名ばかりの場所だった。
ここを観光する“馬車ツアー”まであったいう。
「ベドラムの」とつけば「狂気の」と同じことを意味した。

パーセルの「ベス」はこんなナレーションで始まる。

 静かな影の中から 恋の病を治しに ぼろを着たベスがやってくる

音楽のスタイルは数十秒ごとにめまぐるしく変わっていく。
ダンスのようかと思えば、
メランコリックな旋律があらわれ、
火が付いたように早口でまくしたてる語りの直後、
魔女の呼び声が響きわたる。

くるくると変化する歌を歌っているのは誰か?ベスか?ほかの誰かか?

誰でもあり、誰でもない。
 
 この世のすべての法から自由 ワラにくるまって 王様のように輝かしい

こう深い憧憬を抱かせる歌の主人公ってあまりいない。
「ソリチュード」公演で「ベス」歌います。

      *コンサートの詳細はダウランド・アンド・カンパ二イのHPでどうぞ←

by hatano-mutsumi | 2011-01-24 23:08 | コンサート
2010年 12月 08日

ソリチュード 

2月のはじめに京都、広島、横浜とコンサートツアーをやります。

チェンバロの芝崎久美子さんと、パーセル歌曲だけの演奏会。
各会場ともかなり小さなホールです。
しかし天井が高い!
三カ所とも、チェンバロ一台でパーセルを演奏するのに理想的な空間ばかりです。

タイトルの「ソリチュード」はパーセルの歌の中で現在最も
“ひたっ”とくる曲。
ベースの部分が同じ音型を反復する“グラウンド”というスタイルで書かれていて、
有名なアリア「ダイドーのラメント」も このグラウンド・ベースの上で
歌われるものです。
パーセルはこの手法がよほど性にあっていたらしく、
他にも「ひとときの音楽」など、とにかく良い曲が多いのです。

私はこのグラウンドものが大好きで、今年リリースしたパーセル歌曲集のCDでは
半分が“反復モード”になってしまいました。
 
魔術師・パーセルの手によるグラウンドの魅力は
“ずらし”と言えます。
反復するベースの歩み、メロディはその上で
遊ぶ・身を翻す・ゆらぐ
などしながら 詩を語っていきます。
演奏の際にベースとメロディの縦線がぴたりと合うのもよし、合わないのもよし。

こちらが受け持つメロディは、その日会う聴衆とのやりとりで
どのくらい空気を含んでいくかが変わる。
聴衆、と書きましたが
客席の皆さんは私にとって、非常に能動的な存在です。
動かないのにアクティヴ。

パーセルについて、また書いていきます。
次回は
Mad song 狂気の歌。

(ご案内は←ダウランドアンドカンパ二イのコンサートページにあります)

by hatano-mutsumi | 2010-12-08 22:24 | コンサート
2010年 12月 03日

師走の週末

断捨離の精神にのっとり、持ち物を5分の3に減らすことに成功。
この状態をキープしたいものでございます。

12月は毎週末、違うタイプのコンサートに出演しています。
明後日は「吉田隆子生誕100年記念コンサート」という会で
非常に珍しい歌曲を歌います。
今年は、柴田南雄、高橋悠治、小倉朗と
日本の作曲家の歌曲を演奏する機会に恵まれましたが、
その〆のコンサート。

12日は国際基督教大学のチャペルでバッハ、ヘンデル、パーセルなど。
19日は宮崎で古楽器のアンサンブルとイタリアのバロック。
23日は軽井沢にてパイプオルガンとキャロルを。
そしてクリスマスには静岡でミュージカルナンバーを歌って終了!
各コンサートのご案内はダウランドアンドカンパニーのHPでどうぞ。

各地の会場でみなさまにお会いできるのを楽しみにしています。
インフルエンザ、ノロウィルス etc 
どうぞお気をつけておすごし下さい!

by hatano-mutsumi | 2010-12-03 22:12 | コンサート
2010年 10月 05日

昭和の田舎

作曲家・小倉朗没後20年記念コンサートにて
「木下夕爾の詩による八つの歌」を歌います。
   
   ひばりのす
    ふろたき
     山家のひる
      汽車のけむり
       すいっちょ 

などなど タイトルを並べるだけで情景が浮かぶ。

詩人は作曲家(1916年生)と早稲田大学仏文時代の同級生だそうだ。
私は1964年生まれなので約50年ほど年代が違うけれど、
九州育ちで、加えて休みになると父方の田舎に遊びにいった記憶から
この詩の中の空気はひどく懐かしい。

嗅覚と記憶の結びつきは深いそうだ。
五右衛門風呂を焚く匂い 庭のつつじや水仙の匂い 畑の匂い
楽譜から色々と漂ってくる。
そういえば昔「こすると香る」グッズが昭和の女子小学生の間で流行りました。

この歌曲集、情景はのどかで音楽はクール。かっこいい。
名著「日本の耳」の著者でもある作曲家が「めずらしくすらすら書けた」と。
すらすらと歌えたら、いいなぁ。

お問い合わせはこちらです。
  没後20年 小倉朗室内楽作品展 実行委員会 042−421−1809
           日時:10月18日19時開演 銀座王子ホール

by hatano-mutsumi | 2010-10-05 22:03 | コンサート
2010年 08月 26日

仙台・時代の音 その2

8月はさらさら書きます

などと どの口が言ったのか・・・あっという間に月末ですね。

スケジュール帳はこの10年ほど「高橋書店」を使っています。
一ヶ月見開きタイプ。
月が移る時に「あ!あと1週間あると思ってた!」
と慌てることはありませんか?
今月もそうでした。9月になるのはあと1週間先のような気がしてました・・・。

仙台の東北学院でのレクチャーコンサートシリーズは 来週末の4日土曜日です。
ダウランドとパーセルをガンバ・コンソートと一緒に歌います。
 「イギリスのオルフェウスたち〜ダウランドとパーセルの世界」
どうぞおでかけください!

公演情報 http://www.tohoku-gakuin.ac.jp/period/

by hatano-mutsumi | 2010-08-26 21:22 | コンサート
2010年 07月 02日

BSクラシック倶楽部

昨年秋の王子ホールでのリサイタル「ゆめのよる」が再放送されます。

  7月6日(火)午前10:00〜10:55 NHKBS2

「影の反オペラ」16日公演は予約が締め切りになります。

梅雨本番ですね。
お知らせでした!

by hatano-mutsumi | 2010-07-02 13:30 | コンサート
2010年 06月 13日

時代の音シリーズ

仙台の東北学院大学にて「声・言葉・体」というタイトルで
3回シリーズのレクチャーコンサートをします。

このブログに書いているような声と体のこと、言葉とのつながりなど
レクチャー(というより「お話」です)と演奏の両方で。
第1回はピアノと共に
モンポウ、プーランク、サティなどを前半に
山田耕筰などの日本の歌を後半に
「ことばがうたわれる時」というテーマで歌います。

東北学院キャンパス内のチャペルにて。
どうぞのぞいてください。



公演情報:「時代の音


by hatano-mutsumi | 2010-06-13 22:08 | コンサート
2010年 06月 05日

影の反オペラ2 詩人

「納戸の夢ーあるいは夢のもつれー」は
時里二郎さんにお願いして書いていただいた、音楽と一緒になることを前提として
書かれた言葉だ。

時里さんは関西にお住まいの詩人。これまでに
「星痕を巡る七つの異文」(1991書肆山田)
「ジパング」(1995思潮社)
「翅の伝記」(2003書肆山田)など出版されている。
その作品は「詩」というより「譚」という言葉を使って表現される。
反オペラ「納戸〜」は、時里さんの描く静かな世界に惹かれてはじまった、
夢のはなし。

コンサート前半に演奏される、ショスタコーヴィチの歌曲集
「マリーナ・ツヴェターエヴァの6つの詩」は高橋悠治さんの選曲です。
この歌曲集は原語のロシア語ではなく、悠治さんによって訳された
日本語で歌います。

公演まであと6週間あまり。
もはや、昼も夜も「夢」三昧です。

by hatano-mutsumi | 2010-06-05 23:55 | コンサート
2010年 05月 23日

影の反オペラ1

“語り”と“歌”を行ったり来たりするようなモノオペラを
と高橋悠治さんに依頼したことから「影の反オペラ」は始まった。
去年の夏のことだ。
作曲を委嘱するなど初めての経験。
オペラのための詞が出来上がってきてから数ヶ月、約束どおりの4月末に
とうとう楽譜がきた。

それからというもの、暇さえあれば「譜読み」です。
早くやり終えなければと思いつつ、なんだか勿体ないような気もして、すすめない。
そもそも私の譜読み能力は「牛車」の速度である。
音を体に入れる作業には、とてつもなく時間がかかってしまう。
「365歩のマーチ」ともいえます。
3歩進んで、2歩下がる。

譜読みしていて、特に今回思うこと。
高橋悠治さんの音は「しずく」か「珠」のようだ。
現在の譜読み作業はそれらを
一粒づつ追うような、手に受けるような感覚だ。

その珠はどんな連なりになっていくのだろう。
しずくは溶け合って川になるのか 弾けて飛沫になるのか
どんな運動が起こっていくのか。
なにか知らない生物の静かな細胞分裂を見つめているような毎日。

公演情報 http://www.suigyu.com/monoopera.html

by hatano-mutsumi | 2010-05-23 01:00 | コンサート