2014年 03月 17日

秘話の宝庫

タクシーに乗ると運転手さんが色々珍しい話を聞かせてくれる。
特殊な業界の裏話やら、タクシー業界の在り様など
「ほお〜」とか「ひえ〜」とか連発してしまうことが多い。

たった15分の間に波瀾万丈の半生をダイジェストで聞いたこともある。
神戸で震災にあわれた方だった。
「今が一番楽しいよ!」とおっしゃっていた。

最近のヒットは乗客に関するもの。
聞かせてくれたのはこちらと同年代の運転手さんだった。

ある深夜、新宿で巨漢の外国人と通訳のふたり連れを乗せたそうだ。
「どこか思い切り声が出せるところに」との希望で
「ではレインボーブリッジのたもとは?」と提案したところ
「それはいい!」となり、夜中の2時に橋のたもとに向かった。
到着すると巨漢の男性は朗々とした声で歌い始めた。
その声の力強さ、美しさが尋常ではなかった。

周囲で仮眠をとっていたダンプの運転手など色んな人々が
声に驚いて顔を出し、1曲終わるごとにやんやの拍手。
男性はパヴァロッティだった。
声に呼ばれたように月がレインボーブリッジの上に浮かんでいたそうだ。

運転手さんは「記念に」と白いハンカチをもらったとおっしゃってました。

by hatano-mutsumi | 2014-03-17 20:20 | エッセイ


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