2013年 10月 27日

フィガロ

来年3月に50歳になる。半世紀。
それを前にして初めて、ケルビーノをやることになった。
彼は10代半ばの色気たっぷりの少年です。

ボーマルシェによる「フィガロ3部作」は
「セヴィリアの理髪師」「フィガロの結婚」ときて「罪ある母」で終わる。
2作目「フィガロ」では伯爵夫人に憧れる少年としてケルビーノが描かれるが、
3作目「罪ある母」にはその二人の間にできた息子が登場する。
その間20年が経過したことになっている。

「恋とはどんなものかしら?」というタイトルで知られる小さなアリアは、
少年ケルビーノが憧れの伯爵夫人を前にして想いを歌うもの。

いわゆる「ズボン役」で最も知られるのがこのケルビーノだと思う。
「イドメネオ」の王子イダマンテのように
初演時にはカストラートが歌っていたものを現代ではメゾが演じる、というものではなく、
ケルビーノ初演は元々ソプラノだ。
女性が思春期の少年を男装して演じる上に、劇中では少年が女装するシーンもある。
シェイクスピアでもよくあるが、舞台で二重に性の転換が行われるのだ。
ケルビーノは移ろいやすい若さを湛えた、魅力ある年頃のキャラクター。
それに加えてこの転換を観客は楽しんだのかもしれない。

移ろい果てた若さに加え、更年期のお年頃で、この役に取り組むのもまた一興。
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11月22日(金)24日(日) 北とぴあ「フィガロの結婚」
                指揮:寺神戸亮
                スザンナ:ロベルタ・マメリ

by hatano-mutsumi | 2013-10-27 14:11 | コンサート


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