2011年 01月 24日

マッド・ソング

狂気の女性といえば、現代では
オペラは「ルチア」芝居は「オフィーリア」
バロック時代のイギリスでは「ベス」がその代表の名前だった。
男の場合は「トム」。

パーセルの時代「マッド・ソングー狂気の歌」というジャンルの歌が人気を博した。
その原因は色々あげることができるようだが、
現在もパーセル作品を演奏する歌手に「マッド・ソング」は人気だ。
舞台にのせたがる人が多い。
自分もです。罠の多い曲と知りつつ。

「ベドラムのベス」はパーセルのマッド・ソングの中でもっとも頻繁に演奏される。
ベドラムとは当時ロンドン郊外にあった精神病院の名前だが、
病院とは名ばかりの場所だった。
ここを観光する“馬車ツアー”まであったいう。
「ベドラムの」とつけば「狂気の」と同じことを意味した。

パーセルの「ベス」はこんなナレーションで始まる。

 静かな影の中から 恋の病を治しに ぼろを着たベスがやってくる

音楽のスタイルは数十秒ごとにめまぐるしく変わっていく。
ダンスのようかと思えば、
メランコリックな旋律があらわれ、
火が付いたように早口でまくしたてる語りの直後、
魔女の呼び声が響きわたる。

くるくると変化する歌を歌っているのは誰か?ベスか?ほかの誰かか?

誰でもあり、誰でもない。
 
 この世のすべての法から自由 ワラにくるまって 王様のように輝かしい

こう深い憧憬を抱かせる歌の主人公ってあまりいない。
「ソリチュード」公演で「ベス」歌います。

      *コンサートの詳細はダウランド・アンド・カンパ二イのHPでどうぞ←

by hatano-mutsumi | 2011-01-24 23:08 | コンサート


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