2010年 09月 15日

二重唱

デュエットの機会に恵まれることが多い。
先月は都留古楽祭での Dame.エマ・カークビーのリサイタルの最後に、
イタリア初期バロックを3曲、重唱させていただいた。

留学中のロンドンの図書館で初めて彼女の歌うパーセルを聴いた衝撃は忘れない。
あれほどクリアで軽やかな歌に触れたことはなかった。
自分の歌の「重さ」を考える時まるで、地球に帰ってきた宇宙飛行士の気分が
理解できるようだった。
  あんな風に軽く歌うには、二三度生まれ変わらなければ!
その絶望感も、「この歌をコピーしたら私の声は自滅する」という危機感もはっきり記憶している。

そして都留でのデュエット。
隣から響いてくる声はなんと弾力に満ちていたことか。
決して切れない美しい蜘蛛の糸のようでした。

by hatano-mutsumi | 2010-09-15 23:34 | エッセイ


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